最上一平/作
加藤休ミ/絵
発行所:鈴木出版(すずき出版)
発行年:2019年10月(初版)
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随感随筆:
男の子の兄弟がお父さんと一緒に雪かきをしている場面で、お父さんが降る雪を仰ぎ見ながら、「明日は大晦日だっていうのに、こりゃあ、正月に帰ってくる人も大変だ」と他者を気遣います。また、翌朝一番に起きたおじいさんは、渋滞でトイレに行けない女の人が駆け込んでくると、他にも同じように困っている人たちがいることを知り、寝ている家族を起こします。そして、男の子たちに、「トイレあります」という看板を作るように言います。
公民館では村の人が集まって、おにぎりや芋煮汁を作ります。ラーメン屋さんやお饅頭屋さんはラーメンやおまんじゅうを無料で配り、お店をやっていないような人たちも役に立ちそうなものを持って、渋滞で困っている人たちのところに行きます。
家族や村の人たちのこうした行いは、昔は当たり前のように行われていたように思いますし、今でも、災害に見舞われたところには、多くのボランティアが駆けつけるということを目にします。「困ったときはお互いさま」、と、おじいさんが言うんですが、それはきっと自分が困ったときに助けてもらった経験から相手を思いやる心が育ったんだろうと思います。小さい子どもたちにはまだそういう経験は少ないかもしれませんが、こういった絵本を通して疑似体験をし、他者を思いやる心が育つといいなと思います。
クレヨンで描かれている雪国の風景が、なぜか温かく感じます。