漢養舎の本棚

子どもたちの心を育て養うのにいいと思った本や絵本を紹介するとともに、自らの思いや感じたことなどを綴ります。

あたたかい木

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作:くすのき しげのり
絵:森谷明子
発行所:佼成出版社
発行日:2008年10月30日

出版社からの内容紹介:
なぜ、この木はあたたかいのだろう。
どうして、ここにあるのだろう。
心の中まであたたかくなるのは、なぜだろう。

「あたたかい木」を見つけた若い植物学者は、あたたかい木を研究して世界中から注目される学者になった自分のすがたを思いうかべた。しかし、あたたかい木にいだかれたおだやかな時の流れの中で、若い植物学者の心は、しだいに変わっていく・・・。

作者あとがき:
 わたしがこの作品を書いたのは、今から20年ほど前のことです。
 それから現在まで、日本や海外で、多くの人たちに、直接この作品を紹介してきました。
 この作品に関心を持ってくれる人が、「あたたかい木」から思いうかべるものは、神・仏・父親・母親・家族・家庭・愛する人・親友・ふるさと・自然・大いなるもの・・・と、読む人によってちがいます。ところが、「あたたかい木」から思いうかべるものがちがっても、共通することは、そうした存在に、あたたかく受け入れられ、愛されていたという記憶があるということ、あるいは、現在、あたたかく受け入れられ、愛されているということです。
 はるかかなたの山のおくにあるという「あたたかい木」。
 しかし、わたしたちが気づきさえすれば、「あたたかい木」は、わたしたちの幸せな記憶の中にも、そして、わたしたちのまわりにも、あるのかもしれません。
 そうであるならば、わたしたち自身が、他の人にとっての大切な存在(環境)であるということを自覚したときから、わたしたちも、きっとだれかにとっての「あたたかい木」になることができるのです。
 わたしも、そして、この絵本を手にとり、こうして最後まで読んでくださったあなたも、すでに「あたたかい木のことを知っている人」なのですから。

この絵本を読んで:
 山の奥にある一本の「あたたかい木」。その周りは一年中、花や緑があって、冬の北風もあたたかく、動物たちが自然と集まってきます。
 その不思議な木を見つけた若い植物学者はその木の調査を始めるんですが、そのうちに気持ちがよくなって寝てしまいます。寝ているときには、亡き母の夢を見ます。そして目が覚めると、動物たちが自分の周りでくつろいでいっしょに寝ているんです。
 それからの何日か、動物たちと過ごしながら、「あたたかい木」のことを考えるうちに、心がおだやかにやさしくなっていきます。
 そして事あるごとに、「あたたかい木」のことを思い出し、年を重ねていき、最後には、この研究者が「あたたかい木」のような存在になるというお話です。

 内容的に、小さいお子さんには抽象的に感じるかもしれませんが、それを絵が補っているように思いました。とにかく、絵を見ているだけで、ほのぼのとしてきます。
 熊を枕にして寝ているところや、月夜にふくろうが寄り添っている姿、小動物があちこちにいるようすは、見ているだけで心が癒やされます。