漢養舎の本棚

子どもたちの心を育て養うのにいいと思った本や絵本を紹介するとともに、自らの思いや感じたことなどを綴ります。

メルリック~まほうをなくした まほうつかい~

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作:デビッド・マッキー
訳:なかがわちひろ
発行所:光村教育図書株式会社

出版社からの内容紹介:メルリックは、心やさしい魔法使い。人間の仕事を何でも魔法でホイホイやってあげていました。ところがある日、魔法が底をついて、大混乱! さあ、どうする? 初版から40年以上を経て絵をすべて描き直し、改めて今、世に問う意欲作。

この絵本を読んで:心やさしいメルリックは、魔法が使えなくなったあと、だれもが苦労して働いているのをみて、「かわいそうに。早く魔法を取り戻して、助けてあげよう」と思います。そして、魔法大王のクラ先生にその気持ちを伝えるのですが、その話を聞いたクラ先生は、「おろかなメルリックよ。おまえのしたことは、誰の役にも立っていない」と叱ります。納得のいかないメルリックは言い訳をするのですが、クラ先生は、「人々は、魔法の力に頼るようになった。おまえがそうさせたのだ。そして、魔法がなくなった今、何一つ自分ではできない。それでも助けたことになるのかね?」と諭します。メルリックは返す言葉がありません。
 そんなメルリックにクラ先生は最後のチャンスを与えます。
 再び魔法が使えるようになったメルリックがお城へ帰ると、メルリックがいないことをいいことに、敵が攻めてきていました。「今こそ、魔法を使うときだ」と、メルリックは思い、魔法で敵の兵隊を黒猫に変えてしまいます。そして、城内にいる犬を放って黒猫を追い払います。この絵本の良いところは、魔法の力で敵を殺したりするのではなく、黒猫に変えて追い払うだけです。そして、黒猫が自分のお城に帰ったら人間に戻るだろう、と言います。心やさしいメルリックならではの魔法の使い方に感心することしきりです。
 魔法なんてあるはずない、と思う子もいるかと思いますが、わたしたちの身の回りは、何でもやってくれる魔法のようなもので溢れています。確かに便利ではあるんですが、果たして本当にそれでいいのかと、この絵本を通して、お子さんたちと考えてみてはどうかと思います。そして、本当に必要なものと、無くてもいいもの、無いほうがいいものを選別する力を養うことによって、自分でなすべきことというものが判断できるようになるのではないかと思いました。
 宿題をやってくれるロボット、なんて、必要ですか?(^_^)