漢養舎ブログ

「漢養舎の本棚」「出直し!漢字学習」「思い出のひきだし」「自由のぉと」

委:教育&常用漢字、漢検8級

音読みは、「イ」で特に問題なし。
一方、訓読みは、「ゆだーねる、まかーせる、くわーしい、おーく、すーてる」などと、読み方が多く、成り立ちから意味を紐解くのに、かなりの時間が・・・。

まず、この漢字の構成は、「(カ、いね、のぎ)+」。

「禾」は、粟(あわ)や稲などの穀物の穂先が垂れている形で、穀物の総称。
カタカナの「ノ」と漢字の「木」から「ノ木偏(のぎへん)」という部首名があり、このほうがわかりやすいかもしれない。

『字統』によると、委は、穀物の霊を象(かたど)った禾形のものを頭に被(かぶ)って舞う女性の姿で、農耕の儀礼を示しているとのこと。
男性の場合は「」、子供の場合は「」、らしい。
なぜ「年」が?、と思うが、年の古い字形は「禾+人」なので、納得。

「年」と「季」は、大人と子供という関係からか、農耕における一年が「年」で、その節目が「季」。よって、「季」は春夏秋冬といった「季節」を表したり、兄弟の順列で「末っ子、末」を意味したり、「若い、幼い、小さい」という意味もある。

 

一方、「委」は「年」「季」とは異なり、農耕や農耕儀礼を行うときの女性の役割や様子、更には女性の特徴から意味がつけられていったのではないかと思う。

『字統』によると、農耕儀礼のさい、女性の舞う姿がしなやか・おだやかであることや、しなやかであることから曲折することが多いことなどを例として挙げてある。

また、収穫した農作物を集めたり運んだりする様子から「おーく、すーてる」、手先の器用さだったり、細かく丁寧な仕事ぶりからか、「くわーしい、つまびーらかに」、などといった意味がうまれたのかもしれない。

 

学級委員や委員長などの「委員」、委任状や委任するといった場合の「委任」という漢字はよく目にするが、以下の漢字はあまり、というか、ほとんど目にしないと思うが、試験に出そうなので、書き出してみる。

委曲(イキョク、つばら)
 ①くわしくこまかなこと。すみずみまですべて。*類:委細。委悉(イシツ)。 
 *[つばら]:詳しいこと。細かいこと。つばらか。「詳(つば)ら」とも書く。
 *[つばらつばらーに]:くわしく。つくづくと。しみじみと。
 ②身をかがめて従うさま。*類:委屈(イクツ)

委質(イシ、シをイす)
 はじめて仕官すること。 *類:委摯(イシ)、委贄(イシ)
 *はじめて君主に仕えるとき、自分の身命を君主にささげる意味を示す礼物の
  雉(キジ)をささげたことから。
 * 一説に、質は体(からだ)を意味し、膝を曲げて体を地面に置く、平伏する
  こと。また、身命を主君にゆだねる意。
 *[委贄・委摯]:子どもが初めて先生にまみえたりするとき、礼物の束脩
  (ソクシュウ、束ねた干し肉のこと)を地面に置く。直接に手渡すことは
  失礼とされた。

委蛇、イダ)
 ①うねり曲がって長く続くさま。
 ②ゆったりと落ち着いているさま。
 ③身を曲げてしたがうさま。
 *泥鰌(ドジョウ)の別称。

委順(イジュン)
 ①自然の成り行き。
 ②成り行きにまかせること。特に、死をいう。

原委(ゲンイ)
 物事の本末。原は、源(みなもと)。委は、流れの集まってたまった所。
 *「原」は、「厂(がけ)」+「泉(いずみ)の省略形」で、元は水源の意。
  後に「広くて平らな土地」の意味に用いるようになったため、「源」が作られた。

 

 

依:常用漢字、漢検4級

音読みは、「イ、エ」。訓読みは、「よ-る」。

『漢検漢字辞典』では、この漢字の意味を

①よる。たよる。よりかかる。「依存(イソン・イゾン)」「依頼(イライ)」
②そのまま。もとのまま。「依然(イゼン)」
③はっきりしない。ぼんやりしている。

の三つに分類しているが、よくわからなかったのは、③。

この疑問を頭に入れて、成り立ちを調べてみた。

 

依は、「人」+「衣」
どちらも象形文字で、衣は、衣服の襟元(えりもと)の部分を表したもの。

『字統』によると、「依は、衣を身にかけて、霊を寄り添わせる意」とのこと。古い字形は、衣服で人を包(くる)んでいるような形なので、なるほどと思う。

亡くなった人の霊あるいは神が他の人の体に乗り移ることは、

・他人の体を借りることでもあるから、①
・乗り移った霊は以前と変わらないことから②
・外見と中身は異なることから③

というようなことなのかなあと思う。

また、③については、「はっきりとしないが、よく似ている」というふうにもとれ、「よく似ている」「彷彿(ほうふつ)とさせる」という意味の熟語もある。

なんとも不思議な感じのする漢字だが、きのうたまたまテレビで神楽(かぐら)の話題が取り上げられていて、こういった神事を自然に受け入れていることを考えると、依という漢字も違和感がなくなる。

 

最後に、漢検に出題されそうな熟語や類義語を整理してみる。

依稀(イキ)
 ①ぼんやりとして、はっきりしないさま。
 ②よく似ているさま。*類義語:彷彿・髣髴(ホウフツ)、依約

依約(イヤク)
 ①頼り、結びつく。
 ②ほのかにぼんやりと見えるさま。
 ③似ていること。*類義語:彷彿・髣髴(ホウフツ)、依稀

依怙(イコ・エコ)
 ①頼る。頼りとなるもの。父母。*類義語:怙恃(コジ)
 ②[日本]一方にかたよって不公平なこと。*類義語:偏頗(ヘンパ)

依然(イゼン)
 ①もとのままで変わらないさま。
 ②昔のことを恋い慕うさま。
 ③樹木が盛んに茂るさま。
 *①の意味から派生し、樹木が勢いを保って元気なさまを表しているのかも?

瞻依(センイ)
 仰ぎ尊び、頼りにすること。*瞻は、見上げる意。