漢養舎の本棚

子どもたちの心を育て養うのにいいと思った本や絵本を紹介するとともに、自らの思いや感じたことなどを綴ります。

せかいでいちばんおかねもちのすずめ

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ぶん:エドアルド・ペチシカ
え:ズデネック・ミレル
やく:きむら ゆうこ
発行:プチグラパブリッシング

出版社からの内容紹介:「もぐらとずぼん」(福音館書店)をはじめ、「もぐらのクルテク」シリーズでお馴染みズデネック・ミレルの楽しい絵と、「りんごのき」(福音館書店)や「ぼくだってできるさ!」(冨山房)などで知られる原作者エドアルド・ペチシカの名コンビが1963年に発刊した絵本の邦訳版がついに誕生しました!

この絵本を読んで:とにかく、絵がかわいい、というのが一番の印象です。このブログをはじめてから、はじめて絵に引き込まれました。
この絵本には四羽のスズメが登場するんですが、そのうちの一羽は、頭の毛がぼさぼさだから、ぼさぼさくん、と呼ばれています。ぼさぼさくんは最初は見つけたえさを独り占めしてしまうようなスズメだったんですが、えさよりも、みんなと楽しく遊ぶことや一緒にいることのほうがいいと気付きます。そして、最後には自分が見つけたえさをみんなと分け合ってたべます。
もちろん食べることは生きていく上で必要不可欠なことではあるんですが、有り余るほどの食べ物は必要なく、それよりも、仲間を大切にすることを教えてくれるような本だと思いました。
教訓的なことが含まれていると思うんですが、それを無邪気なスズメを主人公にすることによって、さりげなく伝えてくれているように感じました。
うちにも毎日スズメが顔を見せてくれるんですが、一羽一羽、その仕草や行動が異なっていて、見ていて飽きません。砂浴びをして、穴の中から顔を覗かせる姿は本当にかわいいです。ものぐさなスズメはちょっとした移動でも歩かずに飛び上がって移動します<笑>。この絵本を読んだことによって、これからまたスズメたちを見る目が変わってきそうです。

 

ええことするのは ええもんや!

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作:くすのき しげのり
絵:福田岩緒
発行所:株式会社えほんの杜

出版社からの内容紹介:がっこうからの帰り道。くるまいすで動けなくて、困っているおっちゃんに出会ったマナブ。ちょっとそこまでと、くるまいすを押してあげているうちに、道行くみんなに「りっぱやわ!」「えらいわねぇ」と言われて…。「ともだちやもんな、ぼくら」の3人組が、ボランティアについて考えます。褒められるのって気持ちいい。でも、ええことするのって、感心されたり褒められたりするため?

この絵本を読んで:永平寺の前貫首・宮崎奕保禅師が「善いことをしていて、善いことをしているという意識がない。それが本当の善いことなのです。」ということをおっしゃっていて、なるほどなあと思っていました。マナブくんもきっと最初は意識していなかったんだろうと思いますが、周りから言われて、意識するようになってしまったんだろうと思います。
人が見ていようがいまいが、正しいこと、良いことをする。自分もそう心がけようと、改めてそう思いました。
困っている人に出会ったとき、「何か力になりたい、手伝ってあげたい」と思っても、塾に行く途中だったり、お使いの途中だったりすると、どうしても自分のことが優先になったりしますし、具合が悪くて倒れている人なんかを見かけたときは、せっかくの善意がかえってその人の症状を悪化させたりすることも考えられます。
この絵本を読みながら、マナブくんのとった行動について、また違った対処の方法があったんじゃないか、などなど、話し合ってみるといいかもしれません。

 

おてんとうさまがみてますよ

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作:山本省三
絵:日隈みさき
企画協力:靑谷洋治
出版社:PHP研究所

出版社のまえがき:「おてんとうさまがみていますよ」ぼくがいたずらをしていると、ママがこのごろいうくちぐせ。おてんとうさまって、わるいことばかりじゃなくて、いいことしててもみてるのかな?

この絵本を読んで:そう言えば、自分も子どもの頃、母にそう言われていたことを懐かしく思い出しました。また、誰からも評価されず、つらい思いをしているときなどに、「おてんとうさまがちゃんとみてくれてる」と、自分で自分を励ますことも多々あったように思います。
おてんとうさまがいったい何なのか、太陽とみるのか、それとも神様や仏様とみるのか、はっきりとした答えはわかりませんが、ただひとつ、自分自身を戒めるためにある言葉じゃないかと思います。
「誰もみてないからいいや」と、ゴミを捨てようとしたりするときなんかに、ふと思い出すような言葉ですね。やはりきっと小さい頃によく言われていたんでしょう<苦笑>
良いことも悪いことも、誰かがみているとか、誰もみていないからとかいって、することではないんですが、なかなか難しいですね。そんなときに、ひとつの歯止めとなるような言葉でもあるように思います。

 

その手に1本の苗木を マータイさんのものがたり

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作:クレア・A・ニヴォラ
訳:柳田 邦男
出版社:評論社

訳者まえがき:この絵本は、アフリカの女性として初めてノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイさんの伝記です。マータイさんは、ケニアの環境保護運動家で、「モッタイナイ」という日本語を、環境と資源を守る合言葉として世界に広めていることで、日本でも広く知られています。
 「モッタイナイ」という言葉が、マータイさんの心をとらえたのは、自然の恵みに対する感謝の気持ちまでがその言葉にこめられているからでした。経済的な成長・発展にばかり熱中して、モノを粗末にしてきた日本は、いま何がいちばん大事なのか、価値観の転換を迫られています。この困難な時代に、マータイさんの若き日からの学びの姿勢や、国を再生させる考え方と行動には、わたしたちが学ぶべきものがたくさんあると感じます。
 この絵本が少しでも多くの子どもたち、若者たちに届きますように。

この絵本を読み終えて:この絵本ではケニアという国の問題がテーマとなっていますが、そういった問題が日本にも起こっていることを子どもたちと共有できたらいいなと思います。今の日本は、モノが溢れ、近代的な建物や先進的な技術に囲まれて生活をしていて、それが当たり前だと思っている子どもたちが多いと思います。そして子どもたちだけではなくわたしたち大人でさえも、それが平和であり、豊かさだと信じて疑わない人が多いんじゃないかと思います。しかし、本当にそうでしょうか。
昔のことを知っている人は段々少なくなってきているとは思いますが、古き良き時代のことを、この絵本を読みながら振り返り、子どもたちに話して聞かせてあげてもらいたいと思います。

 

ピノキオ 国際版ディズニー名作コレクション13

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文・解説:とき ありえ
デザイン:坂井美穂
編  集:斎藤妙子
発行所:株式会社講談社

とき ありえさんによる解説:『ピノキオ』の原作は、演劇評論家として活躍したイタリアのコッローディ(1826~1890)による児童文学です。本当の勇気とはなにか、良心に従うことの大切さなど、主題はたいそう教育的ですが、木のあやつり人形が動くという設定は文句なしにおもしろく、説教くささを感じさせないお話となっています。
 ピノキオが誘惑にまけて遊びくらすのも、説教のためのエピソードというより、じつはお話の中でもっともわくわくするところであり、悪の楽しみを本の中で味わうということが、逆にまっすぐな心を育てるという、教育的なパラドックスにもなっています。

この絵本を読んで:「良いこと」と「悪いこと」、一見簡単なようで、これが実は難しいですね。この絵本を読んだからといって、善悪の判断が身につくとは思いませんが、この絵本を読んだことによって、何が良いことで何が悪いことなのかを、何かを行う前に、一度立ち止まって考える習慣が身につくことを期待します。一緒に読み進めながら、普段の行いなどを振り返ってみるのも楽しいと思いますよ。

 

ありがとうございます

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作・絵:塚本やすし
発行所:株式会社冨山房インターナショナル

出版社からの内容紹介:“ありがとうございます”を言ってみよう!感謝をすることの大切さに気づかせてくれます。朝、起きてから寝るまで、出会ったものや、したことの すべてに、「ありがとうございます」と言ってみましょう。小鳥、太陽、朝ごはん、歯ブラシ、お花、子犬、ねこ、砂、土、 ちょうちょ、雨、かさ、クレヨン、おじいちゃん、おかあさん、 おとうさん、おばさん、おにいちゃん、月……。とても、気持ちがよくなりますよ。

この絵本を読んで:とにかく、まずは何にでもありがとうと言おうというところがいいなあと思いました。最初は、心からありがとうという気持ちがなくても、言っているうちに、心からそう思うようになるんじゃないかと思わせてくれる絵本です。
普段、子どもたちがお菓子やおもちゃを買ってもらったり、お小遣いやお年玉をもらったときには、「ありがとうは?」と促しますが、身の回りに自然にあるものなどに対して「ありがとうは?」と促すことはあまりないように思います。それをこの絵本を読むことによって自然に身につくように思いました。
お父さんやお母さんがいて、わたしたちが生まれました。そして、そのお父さんやお母さんにお父さんやお母さん(わたしにとってはおじいちゃん、おばあちゃん)がいたからこそわたしたちが今、この世にいます。今、生きている人たちに対して感謝の気持ちを持つと同時に、今はいなくなったご先祖様にも感謝の気持ちを持つこともできるようになるといいですね。

大きな木のおくりもの

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作:アルビン・トレッセルト
絵:アンリ・ソレンセン
訳:中井貴惠
発行:あすなろ書房

出版社からの内容紹介:一本の木の生、死。そして新しいいのちの誕生。一本の木が自然界のサイクルの中ではたす役わりをみごとに描いた絵本。

この絵本を読み終えて:一本の木がどのようにして生まれ、育ち、朽ち果てていくのかが具体的にわかりやすく描かれていると思いました。そして、この一本の木が自然界のサイクルの中で果たす役割を描くとともに、そのためには、アリやミミズといった小さな虫たち、キノコやカビ、更には、季節の移り変わりや台風などの自然現象が果たす役割もまた欠かせないものであることも描かれています。
この絵本を読み終えたあと、身の回りの自然がこれまでとは違ってみえ、興味や関心を持って観てくれることを期待するんですが、このサイクルをただ単に自然科学的に捉えるんではなく、その自然界のサイクルの中に我々人間も存在し、そしてその自然に自分たちは生かされているんだということを感じ取ってもらえたらと思います。そう感じることができたら、自然を大切にする心も育まれていくように思います。
この記事を書いている今、空にはツバメが飛び交い、この絵本の題材にもなっているクスノキが空に向かってまるで雲のようにモクモクと成長しています。それが毎年同じ時期に繰り返される自然の素晴らしさに気づくような、そんな人に育っていってくれたらいいですね。